Gスケールから始めてみる
運指でいちばん易しいのはC/Amスケール(ハ長調、イ短調)と思いがちですが、多くの曲は基音(長調なら「ド」、短調なら「ラ」)を挟んで上下にメロディが散らばっているものです。ですから、C/Amの曲を吹くと、かなり頻繁にオクターブローラーを動かすことになります。
オクターブローラーを使わずに出せる運指領域の真ん中あたりに基音があるほうが、左手親指を頻繁に動かさずに済みます。しかし、#やbが多いと運指そのものが複雑になるので、G/Emスケールあたりがいちばん演奏しやすいスケールです。
実際問題としても、C/Amスケールの曲よりG/Emスケール(ト長調、ホ短調)の曲のほうが多いです。そのため、縦笛やカシオのデジタルホーンをやったときも、ほとんどの曲はGスケールに移調して吹いていました。
G/Emスケールだと、右手の指を全部離して、左手の指3本だけで押さえたポジションが基本であるGの音(ト長調の「ド)で、オクターブローラーを使わずとも低い「ミ」(実音はB)まで出せます。左の指3本を押さえたままオクターブローラーを1つ上に上げるとオクターブ上の「ド」(実音は上のG)が出て、そのまま右手の指を添えていけば「ミ」(実音はB)まで出せるので、指の動きを最小限にして広い音域をカバーできます。
EWI4000Sも同じで、Gスケールから運指練習を始めました。
EWIに限らず、あらゆる電子楽器は移調(キートランスポーズ機能)が簡単なので、演奏しづらい曲は移調して、演奏しやすいスケールの運指で演奏するということができます。ギターでカポタストをはめてしまうようなものですね。
私はC/Amの曲でも、Fに移調してGスケールで演奏するということをしています。そのほうがC/Amで演奏するより楽だからです。
……↑この意味が分かりますでしょうか?
Fに移調するということは、C⇒C#⇒D⇒D#⇒E⇒F ですから、2全音半上がります。その状態でGを吹けば、G⇒G#⇒A⇒A#⇒B⇒C で、Cの音が出ます。
同様に、Gスケールで、Bbに移調すればF(Dm)ですし、Ebに移調すればBb(Gm)です。ボタン操作だけで移調できる楽器って、いいですよねえ。
このようにして、あらゆる調の曲を、私はGスケールで吹いているわけです。
固定ド固定音感(世の中では「絶対音感」と呼んでいる音感)の人は、これをやると気持ちが悪いといいますが、移動ド相対音感の私は、あらゆる曲のメロディが移動ドで聞こえるので、この「移調してGスケールで演奏する」という方法に何の違和感もありません。
ジャムセッションなどで、まったく知らない曲に参加するときも、その曲のメロディの「ファ」に聞こえる音(移動ドでのファ)が実際にはどの音なのかをこっそり確かめて、EWIの裏側のボタン操作でササッとそのキーに移調してからステージに上がり、平気な顔でGスケールでアドリブを吹きまくるわけです。
例えば、『枯葉』は移動ドなら「ラシドファー」で始まりますが、この「ファ」の音がEbであることを確認し、EWIのキーをEbに上げてから、G(Em)スケールで吹くわけです。この場合は実際にはGmスケールになっています。
もちろん、転調がいっぱいある曲などではこの技は通用せず、あららあらら……となって赤っ恥をかくことになりますが……。
一度試してみてください。
index(内容は随時更新の予定)
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